- 従来のFAANGと現代のFAANG2.0の違いは何なのか
- FAANG2.0に該当する銘柄には何があるのか
- 新たな投資サイクルにはどのように備えるべきなのか
はじめに
FAANGとは米国の巨大テック企業5社のフェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)、アップル(Apple)、アマゾン(Amazon)、ネットフリックス(Netflix)、グーグル(Google)の頭文字からなる造語です。
それぞれのセクターにおいて独占的な地位を占めており、その動向は米国経済を牽引するだけでなく世界中の投資家の注目を集めてきました。
特に2020年3月以降、新型コロナの影響でリモートワークが進むなかで、ハイテク企業はその恩恵を最も受けたともいえるでしょう。
ところが2022年に入り米国経済が歴史的なインフレの高止まりが顕在化してくると、株式相場は右肩下がりで下落し、弱気相場を意味するベアマーケット入りしました。
つまり現在は新しい経済サイクルに突入する可能性に備えた投資戦略を考える時期に来ているのではないでしょうか。
今回は到来する可能性の高い「FAANG2.0」という新時代に備えた投資先と投資戦略について考察していきます。
FAANG2.0とは何か
そもそも「FAANG2.0」とは、米大手銀行のバンク・オブ・アメリカが新たな経済のトレンドを定義した造語です。
内訳としては燃料(Fuel)、航空・防衛(Aerospace and defense)、農業(Agriculture)、原子力と再生エネルギー(Nuclear and renewables)、金・金属・鉱物(Gold,metals,minerals)の5分野の頭文字を合わせた総称が「FAANG2.0」です。
従来のFAANGとは異なり地味な印象を受けるセクターですが、なぜ注目を集めているかといえば、ウクライナ戦争によってエネルギー問題が生じているように、今後の世界はグローバルから分断の時代に突入する可能性が高いからです。
分断が加速すると貿易が滞り資源価格が高騰するので「FAANG2.0」に関わる銘柄も上昇すると考える市場関係者が多くなっています。
こうしたシナリオの根拠となる具体例としては米国とサウジアラビアの関係悪化です。
石油産出国であるサウジアラビアは米国に対して中東の安全保障を求めてきましたが、米国が満足のいく安全保障を提供していないとして両国の関係が悪化しています。
また小麦などの穀物にもウクライナ侵攻によってリスクが高まっています。
なぜなら世界の小麦輸出の約2割をロシア、約1割をウクライナが占めていることから、戦争が泥沼化することで穀物危機のリスクが長期化する恐れもあるからです。
こうしたリスクが少なからず米国のインフレ問題にもつながっており、先行きの不透明感からハイテク株の売りが先行し、年初来からナスダックも大幅下落しているのです。
こうした事象からも投資のトレンドが変わりつつあると考える時期に来ているのではないでしょうか。
FAANG2.0に該当する投資銘柄
実際に「FAANG2.0」に該当する投資先を検討する際に、一番わかりやすいのがセクターにまとめて投資することが出来るETFです。ここではFAANG2.0に該当するセクターETFをご紹介します。
また個別株で運用している投資家の方はセクター別の構成銘柄から独自のポートフォリオを構築しても面白いかもしれません。
バンガード・米国エネルギーセクターETF(VDE)
MSCI USインベスタブル・マーケットエネルギー25/50インデックスのパフォーマンスに連動する投資成果を目指すように設計されたETFです。この1本で米国のエネルギー会社へまとめて投資することができます。
- 現在の構成銘柄上位は エクソンモービル(XOM)20.27%、シェブロン(CVX)16.78%、コノコフィリップス(COP)7.22%、EOGリソーシズ(EOG)4.06%です。
- 直近の配当利回り 3.92% 経費率0.10%
iシェアーズ・米国航空防衛株ETF(ITA)
ダウ・ジョーンズ米国セレクト宇宙航空&国防指数の価格および利回りに連動する投資成果を目指すように設計されたETFです。この1本で米国の航空防衛関連会社へまとめて投資することが出来ます。
- 現在の構成銘柄上位はレイセオン・テクノロジーズ(RTX)22.79%、ロッキード・マーチン(LMT)16.6%、ボーイング(BA)6.56%、ノースロップグラマン(NOC)4.78%です。
- 直近の配当利回り 1.16% 経費率0.42%
ヴァンエック・ベクトル・アグリビジネスETF(MOO)
主に大型、中型株を中心に投資ができるETFです。MVIS グローバルアグリビジネス指数と連動する投資成果を目指すように設計されたETFです。この1本で生活必需品、材料、工業製品などアグリビジネスに関わる銘柄にまとめて投資することが出来ます。
- 現在の構成銘柄上位は ゾエティス(ZTS)8.40%、ディア(DE)7.84%、バイエル(BAYN)7.46%、ニュートリエン(NTR)6.95%です。
- 直近の配当利回り 0.02% 経費率0.56%
ヴァンエック・ベクトル・ウラン+原子力エネルギーETF(NLR)
世界中の原子エネルギー産業の上場企業により構成されるDAXglobal原子エネルギー指数に連動する投資成果を目指すように設計されたETFです。この1本で世界的なウラニウムや原子力エネルギー業界へまとめて投資することが出来ます。
- 現在の構成銘柄上位はドミニオンエナジー(D)8.19%、デュークエナジー(DUK)7.99%、PSEG(PEG)6.88%、コンステレーションエナジー(CEG)6.55%です。
- 直近の配当利回り 2.13% 経費率0.61%
ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF(GDX)
NYSE Arca Gold Minerインデックスに連動する投資成果を目指すように設計されたETFです。
このETF1本で大型の金鉱関連銘柄にまとめて投資をすることが出来ます。
このように金投資には金だけでなく金鉱株へも投資する選択肢があります。
- 現在の構成銘柄上位は ニューモント(NEM)15.26%、バリックゴールド(ABX)10.28%、フランコネバダ(FNV)7.98%、アグニコ・イーグルマインズ(AEM)6.85%です。
- 直近の配当利回り 1.78% 経費率0.52%
新たな投資サイクルに備える
ここまでFAANG2.0に関する投資先について言及してきましたが、一方で米国株の底入れする日がいつになるのか?という視点も大切ではないでしょうか。
相場の格言のひとつに「セルインメイ(5月に売れ)」という言葉がありますが、これには続きがあり「リメンバーカムバックセプテンバー(9月に戻ってくることを忘れるな)」と書いてあります。
つまり秋頃に底値を付けた株価がようやく上昇するというシナリオも想定すべきでしょう。
なぜなら年初からの下落により、これまで株式市場から8兆ドルほどの時価総額が失われているからです。
また個人投資家の買い向かう姿勢が減退すると消費マインドが落ち込むため、結果的にインフレ抑制につながるかもしれません。
一方、こうした展開こそFRBが狙っているともいえるはずです。なぜなら株価の下落がインフレ抑制のための最速かつ有効な手段であるからです。
マーケットというものは大きく下落すれば、どこかの時点で必ず悪抜けをして、再び投資家の資金が集まることになります。
またバイデン大統領にとっては今年の11月8日に行われる中間選挙はとても重要なタイミングであり、FRBにとっても選挙前にインフレの目処と下落した株価を上昇させたいと考えるはずです。
これらの条件を考えたとき、秋頃に株価は底値をつけて、そこから中間選挙に向けて株価も上昇していくことを念頭においた投資戦略もひとつの手段でしょう。
いずれにせよハイテク企業は苦しい展開が続き、2022年~23年にかけてFAANG2.0はさらに注目される投資対象となることも検討しておくことが大切だと考えます。
- 配当金は、常に一定ではなく、場合によっては減少したり、配当金が支払われないことがあります。
- 本コラムは勧誘目的ではありませんので、ご投資に際しては、配当利回り以外の要素についてもご確認の上、ご自身でご判断くださいませ。
最後に
実際に資産運用をやってみたいが、どの様にして運用して良いか悩んでいないだろうか。
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